現代に生きる走魂


円谷幸吉メモリアルマラソン

毎年10月の中旬に「円谷幸吉メモリアルマラソン大会」が開催される。2012年より本大会に参加しているが、円谷の練習していたマラソン街道を走破することにより、円谷幸吉の表に現れない「思い」を感じてみることにしたいと思っている。

 

円谷幸吉メモリアルマラソンに参加

10月半ば、須賀川で毎年開催される円谷幸吉メモリアルマラソンのスタートに立っていた。円谷幸吉の走った痕跡を確かめたかった。須賀川の中心商店街は、馬の背にも似た丘の上にある。マラソンコースはその丘を上り下りする大変なコースだ。それだけに参加者は多くはない。コースには円谷幸吉の生家を通る。目を閉じると、声が聞こえるようだ。農作業を一休みし応援するおばあちゃん。大したゆとりもないのに、途中、携帯で写真を撮っていたのがいけなかった。

 

関門の閉鎖時間に僅かに届かず、あえなく競争中止。とにかく一生懸命に走ることが、円谷幸吉の真骨頂だけに、己の不甲斐なさに、大いに反省。マラソンとは面白いもので、未完走のレースがあると、1年間は、人間誰しも反省することで成長する、などとほざきながら、その日々を送るのである。

 

 

翌年は雨の中。その雨が幸いしたのか、体温も上がらず、いつもよりは、身体の負担が少ない。17km関門を無事通過。前を走るランナーが、ゴール2km手前で道を間違えた。相手のミスに乗じて追い越すのは、後味が悪いものだ。思わず追いかけ、本道に戻してあげた。しかし、一度、ミスコースをするとなかなか立ち上がれないものだ。喘ぐそのランナーの横を走り抜けた。追い越す際、その頼りない走りに思わず、頑張れ!と声をかけてしまった。考えてみれば、その行為は、萎えた心に塩を刷り込んでいるようなものだ。己の優越感からきたものなのか。マラソンは一方で心理戦という側面がある。悪いことしたな、などと考えているうちに、ゴールについた。雨は既にあがっていた。

第31回大会概要(2013/10/20)


第30回大会概要(2012/10/21)


第30回大会風景

第29回スタート風景

円谷幸吉を見守る人々


【君原健二】

円谷幸吉が君原健二と買った「結婚指輪」

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▲スタート前のウォーミングアップ

2013円谷幸吉メモリアルマラソンにて


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